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2011-04-13
――ねえ、ここには生まれる自由があったのよ
あなたの声が触れてくる いまでも
無数の線で結ばれるよりも
ただ一本でつながれていたいと願うのだろうか 雨が
かなしみを流さなくなってから あなたは
どのような夜をつくるのか 夜は
そのような思いで湖を
満たすことをやめない

もうあなたを奪ったりしない 言葉は
もう言葉は 必然をさぐったりしない もう
言葉はもう
かなしみをあらわしたりしない そう触れれば
触れるほど言葉は
かなしい そう
いいあらわしたときにだけあらわれるささやかな喪失で
あなたは
あなたの夜をつくる

詩を置いておく。それが手紙になればいいし宛先があってもいいだろう。宛先にはまだあなたがいてもいいし、もういないあなたがいてもいい。

夜空のように届いてしまう永遠があってもいいし、夜がつくられる前に喪失を思い出すための夜空があったとしてもいい。とにかく、置いておくことによって置かれてしまうこと、それが詩のすべてであればいい。

引き返してゆく波があまりにも静かだったと、夢のない夜をつくりながらそこだけに響く靴音のように低められた声がささやくのを聞いた。ずっと前に吹いてしまった風がまだ吹いているあなたの交差点に出た。白い地図がたたまれ、あなたを何かに結ぶものはなかった。

そうしてすでにかなしみを語れない言葉はかなしく触れてくるが、誰にも触れない言葉もまた違うかなしさを持つ。誰にも触れない言葉が引き返してゆく先に湖があるとしてそれを仮に「A湖」と呼んでみたい。

最後の冬のかけらがまだ凍り付いているA湖。美しくない川だけが流れ込むA湖。A湖へと省略されてゆくその他のA湖。

詩を置いておく。あなたは通り過ぎてもいい。


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